信濃日誌

日常の思考を綴るブログ

とある朝の日の出来事。

朝になって我々は旅立った
まるで何かを求めるように
この果てしない道程の先に
何があるかも知らぬまま
それでも我々は旅立った
見知らぬ何かを求めて
旅立つことによって
どんな結果がこの先に
待ち受けているとも知らぬまま

気持ちの良い朝だった
あれほど気持ちの良い朝は
他には一生ないだろうと思う
朝日が我々の顔を優しく照らした
我々はそれだけで満足した
何もかもが満ち足りていた
人には告げない道程でも
この大地が見守っていてくれる
そんな幻想をわずかに感じていた

しばらくして雨が降ってきた
それは我々に恵みと絶望をもたらした
我々は恐怖した
意を決しあの狂った国から旅立ったのに
すべての計画を無に帰されてしまうのか
そんなはずはないと誰もが信じていた
旅の終わりはせめて笑顔で迎えたかった
現に民衆を捨て置くわけにもいかなかった

そして我々はある決断をした
あの黒い霧の立ち込めた
狂った王のいる国に
戦争を仕掛けようと
そう決めた瞬間
我々の生命活動はすでに
停止していたのかもしれない――